第2章 無農薬栽培のポイント 

栽培で重要なこと

農薬を使うかどうかに関係なく、以下のことが栽培でもっとも重要なことと私は思っています。

自然の脅威
たぶん地球規模の温暖化のためでしょう、気候パターンが変化しています。その変化のほとんどは、栽培上の脅威となっています。これらの脅威を具体的に認識し、その対策を確実にとり、被害をできるだけ避けることがきわめて重要です。
気候変化の具体例は、
・春一番から梅雨入りまでの間に吹く南寄りの強風の風速と回数が増えつつある。
・梅雨の降雨パターンと梅雨明け日が年によって極端に変わる。
・夏の暑さが厳しく、かつ長くなってきた。
・秋の彼岸から10月中旬にかけて、昔はウラジオストックあたりから寒冷前線の南下にともなう南寄りの強風が吹いたが、近年はこれがほとんどなくなった。シベリアが温暖化したためだろう。
・それに代わって、被害を及ぼす台風の強度と接近回数が増した。
・暖冬になる年が増えてきた。
・そのため、関東平野では冬の積雪が頻繁化した。

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自然の恵み
光をはじめ、さまざまな自然の恵みをより多く作物に取り込むかが重要です。また、自然の恵みは脅威と表裏一体で、脅威の反対側にある恵みも活用しましょう。
例えば、夏の猛暑は、被害を及ぼすこともありますが、エネルギーに満ちているので、それを活用できれば恵みに変わります。

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生命力と潜在能力
作物は、力強い生命力と大きな潜在能力を持っています。その生命力を信じそれを強め、潜在能力を最大限発揮させることが重要です。化学肥料と農薬が普及して以降、このことを重要視しない農民が大勢を占めるようになりました。それにより、農業技術は退化してきました。

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バランス
作物が生命力を強め、潜在能力を十分発揮するには、いろいろなバランスが重要になります。栽培とは、このバランスを整えることです。自分の健康増進とまったく同じです。

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【2019年10月6日公開】

害虫対策

予防
・圃場の中をきれいにする。特に害虫が付きやすい草は処理する。
・害虫が入りにくい育苗ハウスを使用する。
・圃場やハウスの周囲に天敵の生息帯をつくる。できれば、自然に生える草が良い。
・冬場にカマキリの卵を集め、春に圃場の要所に置く。
・アブラムシが大発生する5月には、それを餌にしているテントウムシを大量に集めてきてアブラムシが発生した作物に付ける。
・アマガエルが産卵し生育できる水溜まりを圃場の周辺に置く。
・バンカークロップを圃場の周囲に育てる。
・害虫被害が発生しやすい時期はできるだけ作付けを避ける。
・害虫対策が難しく収益性の悪い作物は栽培しない。(例:ツルムラサキ)
・基肥を入れすぎない。特に窒素肥料の過剰は危険。
・可能な限り防虫ネットを使う。
・夏から秋にかけハスモンヨトウムシの誘引トラップを使う。
・日常的に害虫発生をチェックする。
以上は現在も日常的に行なっています。かつては線虫対抗作物の栽培、誘蛾灯と防蛾灯の設置を行なうこともありましたが、現在は行なっておりません。

発生後の対処
・手で殺す。
・水か石鹸水で殺す。
・天敵(テントウムシやアマガエルなど)が害虫を駆逐できそうであれば、天敵を集めてきて害虫発生個所につける。
・ハウス内にアブラムシが発生し手に負えない時は、アブラバチを購入して駆逐する。
・発生個所のみ害虫を作物ごと圃場の外に捨てる。
・発生個所のみ作物ごとトラクターで耕してしまう。
・発生個所を防虫ネットで覆い害虫の拡散を防ぐ。
・土の中に害虫が残ってしまったら、半年から1年はその区画に何も栽培しない。
・モグラが土の中に残ってしまった害虫を食べてくれるので、モグラを大事にする。
以上は現在も日常的に行なっています。以前は、土の中に残ってしまったヨトウムシの蛹を犬に探してもらったこともあります。

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【2019年10月13日公開】

病気対策

予防
栽培する作物と季節によって以下のような予防方法をいろいろ組み合わせ実施しています。そのため、ここ10年ほどは露地トマトに発生する「疫病」以外に悩まされておりません。
・できれば、病気の出やすい時期は作付けない。
・病気に強い品種を作付けする。
・連作を行なわない。
・有機物を継続的に圃場に入れて保水性、排水性、陽イオン交換容量を改善する。
・肥料バランスを整える。肥料過多、特に窒素肥料の過多は避ける。
・栽培期間が雨の多い季節にかかる場合は高畝にする。
・作物の種類と季節によっては深耕する。
・必要なら、マルチする。使用する資材は、ポリマルチ、防草シート、遮光ネット、不織布などの化学資材の他、昔ながらの藁、籾殻、草も良い。
・異なる作物でも、同じ病気が発生する作物は近接して栽培しない。(例:エンドウとキュウリ)
・堅強な苗を利用する。
・密植しすぎない。
・できるだけ湿度が高くならないようにする。
・高温管理しない。
・土壌中の水分が不足あるいは過多にならいないように、できるだけ土壌水分を一定範囲に管理する。
・必要なら、潅水する。
・病気を伝搬する害虫の発生と飛散を予防する。
・できるだけ土埃などの汚れを作物に付着させない。
・栽培期間の長い作物には適時的確に追肥する。特に5月から8月までは重要。
・日頃からよく観察する。
・適時適切に収穫する。

発生した後の対策
・発生した部位を取り除く。
・排水性を良くし、土壌水分を少なくする。
・通気性を良くする。
・潅水する。
・追肥する。
・水をかけて病原菌を洗い流す。
・病気が発生した箇所に殺菌力のあるものを散布する。(例:エタノール、酢、乳酸菌など)
・以上の対策で病気を克服できない場合は、病気が発生した作物と残渣を圃場外に捨てる。
・病気が発生したエリアには、同じ病気が発生する作物を一定期間は作付けない。

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【2019年10月20日公開】

 

草対策

温暖で降水量の多い日本では、草対策は不可欠な作業です。しかし、草対策をしたところで、ほとんど利益につながりません。そのため、草対策は後手に回りがちで、無駄に労力を消耗することになります。
除草剤を使わない農法では、とりわけ草対策が重要になります。そこで、有機栽培を営む農家で研修する場合、栽培技術を学ぶのも重要ですが、効率的な草対策もしっかり学ぶことをお勧めします。

草の弊害
・吸肥:草に肥料を奪われる。
・遮光:太陽光を遮られ、作物の光合成が少なくなる。
・過湿:空間が作物と草で埋め尽くされ加湿になり、腐れや病気を発生しやすくなる。
・徒長:作物と草が競合するので、ひょろひょろ徒長する。その結果、作物の品質が落ちる。
・病気:草が病気の発生源になることがある。
・害虫:害虫をおびき寄せる草がある。

対策方法
一口に草と言っても、いろいろあります。科の違い、生育の季節、生育の速度、草丈、地下に貯蔵栄養部のあるなし、結実の速度、害虫の付かないもの付くもの、病気が発生しないもの発生しやすいもの、対策に要する時間の長短、対策の難易度、などなど。それらの違いと状況に合わせ、皆生農園では以下の対策を使い分けております。
果樹園では、ハンマーナイフモアで刈ったり、家畜に食べさせることもできます。
・草に負けやすい野菜(ねぎ、人参、ほうれん草、かぶ、にんにく、など)は草の少ない圃場で栽培する。
・草に負けやすい時期の栽培はできるだけ避ける。(例:春から秋にかけて栽培するほうれん草)
・ポリマルチや防草シートなどで地表を覆う。
・トラクターや中耕機などで耕す。
・刈払機で刈る。
・手や鎌で取る。

季節とタイミング
・季節:一般的には夏場の草対策が重要で頻繁に行なう必要があるが、越冬する草の対策も重要になる。葉物野菜(ほうれん草、小松菜、ねぎ、など)と根菜(人参、かぶ、など)を作付けると、越冬草はとても厄介になる。
・タイミング:早目の対策が肝要。遅れると対策の選択肢が減り、厄介になり、時間のロスが増す。

草の利用
草は、弊害を及ぼすだけでなく、賢く利用することもできます。
・種のついていない草を刈り、果菜類の根元に敷く。(マルチング)
・畝の間の通路に生やし、野菜への泥はねを防ぐ。
・根が深く伸びる草を生やし、圃場の排水性を向上させる。
・圃場の周辺に草丈の高い草を生やし防風用に利用する。
・圃場の周辺に天敵が生息できる草を生やす。
・冬場以外は土壌の乾燥を遅くする。

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【2019年10月27日公開】

農薬

農薬について私は熟知しておりませんが、知る範囲を概説します。詳しくはこちらもご覧ください。

食料安定供給
農薬と化学肥料の出現が人類の爆発的増加を実現しました。今では農薬と化学肥料を使用しなければ、食料供給量が減り、これだけ増えてしまった人類の食を安定的に賄えなくなっています。

弊害
その一方で、いろいろな弊害もあります。例えば、
・農薬や化学肥料そのものはもとより、その製造過程で発生する有毒物質が人々の健康を害してきたことがある。
・人類以外の膨大な種類と数の生物を死滅させ絶滅させてきた。
・農民の知恵と思考力を減退させた。
・食料の安全性を気にしない消費者が増えてきた。

使用量
日本の農産物は「安心・安全」と政府や自治体、生産団体などが宣伝していますが、私は疑問を感じています。なぜなら、耕作面積当たりの農薬使用量において、日本は世界の2番か3番目に多いからです。

種類(用途)
・殺虫剤。
・殺菌剤。
・除草剤。
・その他:殺鼠剤、植物成長調整剤(通称:植物ホルモン剤)、展着剤、誘引剤、天敵など。

毒性
・健康被害が急に出るもの(急性毒)、ゆっくり出るもの(慢性毒)。
・強いもの(毒物・劇物)、弱いもの(普通毒)。
・使用後、なかなか分解しないもの、急速に分解されるもの。
・植物体や圃場に長く残留するもの、長く残留しないもの。
・一般的な傾向として、果菜類(トマト、胡瓜など)のうほうが葉菜類・根菜類よりも毒性の強い農薬を使い、使用回数も多い。
なお、傾向としては、毒性の少ない農薬を使うように時代は動いています。

効果の持続期間
短期から長期まで、さまざまです。私の周辺の農家では、散布回数を減らしたいために、持続期間が長い農薬を使う傾向があります。

生産・組成
・化学的に合成した物質。
・生物が生産した物質。
・生物そのもの(天敵やアイガモも含む)。

登録
国が定めている農薬取締法によって、作物ごとに使用可能な農薬が登録されています。それ以外の農薬を使うことは、毒性の強弱などに関係なく、違法です。例えば、胡瓜に使える農薬を、同じ用途だからといって、ほうれん草に使えるとは限りません。

使用方法
・水で希釈し散布する。(おもに殺虫剤、殺菌剤、除草剤)
・土壌中に気体を注入する。(おもに殺虫剤、殺菌剤)
・希釈しないで土壌表面に散布する。(おもに除草剤、殺虫剤)
・希釈しないで土壌表面に散布し、トラクターなどで耕す。(おもに浸透性殺虫剤)
・希釈しないで作物そのものに散布する。(おもに殺菌剤)

有機栽培での農薬使用
ほとんどの消費者は、有機栽培では農薬が使えないと思っておられようですが、使える農薬も各種あります。国が定める法律に沿って「有機農産物」として認証を受ける場合でも、農薬使用は可能です。詳しくはこちらをご覧ください。

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【2019年11月3日公開】

土は、作物の出来不出来に大きく影響し、もっとも重要な生産基盤です。とりわけ農薬と化学肥料を使用しない農法では非常に重要です。
土の状態(特性)を示す指標はいくつもありますが、重量な指標の中でもなかなか改善できないものを以下にあげます。
なお、農地を入手する際、以下の①、②、③、⑥の土壌分析をお勧めします。

リン酸吸収係数
植物や動物のエネルギー源となるATPを構成するリン酸は、生命活動の根幹ともいえるものです。そのリン酸の効きを左右するリン酸吸収係数が小さければ小さいほど、良質の作物ができる可能性が向上します。
しかし、リン酸吸収係数を小さくする堆肥などを投入し続けても、5年や10年ではほとんど変わりません。リン酸吸収係数が高そうな農地の入手は極力避けましょう。

陽イオン交換容量(CEC)
これも、非常に重要な土壌特性で、上述①のリン酸吸収係数度と同様になかなか改善できません。この数値が小さいと、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウムなどの陽イオン成分が雨などで失われやすくなり、作物の品質が落ち収量が減るだけでなく、病気が発生しやすくなります。

水素イオン指数(pH)
肥料成分と同様に、初心者でも知っている指標です。pHが7以上ですと栽培しにくくなります。かといって、pHを下げるのは非常に難しいので、pH7以上の農地の入手は避けるべきです。

微生物の種類と量
人間の腸内細菌と同じように、作物に有益な微生物(人間で言えば「善玉菌」)と有害なもの(同「悪玉菌」)と、どちらでもなさそうなもの(同「日和見菌」)が生息していると言われています。
基本的に、微生物の種類と量が多く、有益なものの比率が大きいほうが良いようです。

有害センチュウ
一度増やしてしまったら、その生息濃度を問題ない範囲まで下げるのは大変です。特に農薬を使わない農法では非常に苦労します。有害センチュウが増加する原因はほとんどわかっているので、その対策を徹底するしかありません。
上述の①と③と同様に、有害センチュウが問題になりそうな農地は入手しないことをお勧めします。後悔を引きずることになります。

排水性と保水性
この特性は広く言われていることなので、特に説明は要らないでしょう。

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【2019年11月10日公開】

光と空気と水

当たり前ですが、植物の生育には光と空気と水が必要です。問題は、その量と質です。


・強さ:光の強さが増していくと光合成が促進されるようになりますが、一定レベルで飽和点に達し、それ以上強くしても促進されなくなります。
・スペクトラム:植物は光のすべてを光合成に使っているわけではありません。光合成を担う葉緑素が緑色をしているのは緑色を光合成に使っていないからです。紫外線のように有害な光もあります。この光から身を守るために、植物は各種のフィットケミカルという化学物質を合成していると言われています。病虫害の低減と生育促進のために、ビニールハウスを覆うビニールに紫外線カット品が販売されています。
・時間:日照時間の長短は植物に花芽分化などの生理的な影響を与えています。例えば、観賞用の菊は日照時間が短くなると、開花します。

空気
・温度:植物は基本的に変温生物です。そのため、気温が上がると植物の生育が早まります。その理由の一つは、光合成の暗反応が気温の上昇とともに促進されることです。しかし、生育適温を超えて気温が上昇すると生理障害が現れ、限界以上になると枯死してしまいます。作物毎の生育適温を知ることが重要です。
・湿度:水を蒸散する植物にとって、湿度は大きく影響します。湿度が高くなると、病気が発生しやすくなるだけでなく、作物の品質が落ちます。
・風速:適度の風は、植物体の周辺の湿度を下げるだけでなく、二酸化炭素を供給するので、生育を促進し品質を向上させます。
・二酸化炭素:この濃度が高くなると光合成が活発になり、生育が促進され品質が向上します。施設園芸では二酸化炭素を人工的に発生させる装置を使うことがあります。
・有害物質:交通量の多い道路沿いの空気は汚染されているので、作物が汚染されることが想像されます。


・量:水はすべての生命に必要不可欠な分子ですが、土耕栽培では土壌中の水分が多ければ多いほど良いという訳ではありません。作物毎に適量があります。例えば、イネ科の代表的な穀物に米、トウモロコシ、麦がありますが、米は水を非常に好み、反対に麦は比較的に乾燥地を好みます。トウモロコシはその中間に位置します。一般的に、土壌中の水分含有量が少なすぎると枯死し、多すぎると根腐れや病気になります。
・クラスター:水分子は一つ一つ独立してブラウン運動しているのではありません。酸素に水素が特異な角度で結合しているため、水分子は極性を帯び緩やかに結合しています。それがクラスターです。表面張力や毛管現象はそのために起きます。このクラスターを構成する水分子数が少ないほど、生き物にとって水が有効に働きます。したがって、クラスターを小さくする栽培方法がとられることがあります。
・温度:気温と同様に、やはり植物の種類ごとに適温があります。一般的に、気温より水の温度(土耕栽培の場合は地温)の高い方が植物は健全に生育ちます。
・酸素:植物は、二酸化炭素を使って有機物を合成する過程で酸素を排出する一方で、動物と同様に酸素を使ってエネルギーを得ることも行なっています。したがって、土壌中の水分が過剰になると酸素が不足し、根の活動が不活発になり、根腐れをおこすこともあります。
・肥料:基本的に、肥料成分は水に溶けた状態で根から吸収されます。したがって、土壌中にいくら肥料成分がいっぱいあっても水分不足では吸収が鈍ってしまいます。
・ミネラル: 水には、肥料成分だけでなく、土壌中のミネラル成分が溶け込んでいます。地下水をポンプでくみ上げて灌漑農業を長年続けていると、ミネラルが地表に集積されて、植物が育たなくなってしまいます。いわゆる「塩害」です。前世紀からこれが世界的な問題になっています。現在も進行しています。
・有害物質:これも、ミネラルと同様に、水に溶けて問題を起こしてきました。作物にやる水は、「水なら何でもよい」という訳ではありません。

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【2019年11月17日公開】

肥料

肥料に関しては、昔からたくさんの本が出版され、現代ではインターネット上にも情報が溢れていますので、独学に不自由しません。ここではポイントを簡潔に記します。肥料のことを考える時、人の食事と対比させると、理解しやすくなります。

原料の由来
・化学合成物。
・動物やその排泄物。
・植物。
・鉱物。
・産業廃棄物。

種類
・無機肥料と有機肥料:鉱物や産業廃棄物に由来する無機肥料の中には有機栽培として使えるものもある。
・多量肥料と微量肥料。
・粒状(または固形物)と粉状と液状。
・循環型と非循環型:一般に市販されている肥料は、その大部分が非循環型である。循環型の肥料は、圃場周辺から容易に調達できる米糠、籾殻、落ち葉などの有機物がほとんどである。
・肥効速度の遅速。

肥効速度
以下のものが肥料の効きの遅速に影響します。
・形状または形態:一般的に、粉状の方が粒状よりも、低分子の方が高分子よりも、化学肥料の方が有機肥料よりも水に溶けてイオン化しやすいため、肥効速度が速くなる。
・施肥方法:土に十分混和すると、根に近い位置に施肥すると、水に溶かすと、葉に噴霧(いわゆる「葉面散布」)すると効きが早くなる。
・土壌水分:ほとんどの肥料はこれが多いほど効きが早くなる。

残留肥料
施肥する前に土壌に含まれている肥料成分の分析データをとり多量肥料だけでも肥料計算すると、適切に施肥しやすくなります。新たに農地を入手する時、あるいは入手した時には肥料分析データをとることをお勧めします。その際、肥料成分だけでなく、下記(⑥)で指摘する「陽イオン交換容量」と「リン酸吸収係数」のデータ採取も大事です。肥料成分の矯正は難しくありませんが、陽イオン交換容量とリン酸吸収係数の改善は難しく、特にリン酸吸収係数は困難です。
自分で土壌分析ができない人は外部に委託できます。

施肥
施肥の量とバランスは以下のことを考慮します。
・作物:作物の種類や品種によって要求する肥料の量とバランスが異なるが、一般的に果菜類のほうが、葉菜類や根菜類よりも肥料を多く要求する。
・季節:同じ作物であれば、気温の低い時期は生育期間が長くなるので、施肥量を多くする必要がある。必要な場合には、追肥を行なう。
・生育段階:生育が進むにつれ、作物は肥料の量を多く要求する傾向がある。バランスも生育段階で変わる。
・基肥と追肥:基肥だけで最後まで済ませるより、基肥を少な目にして必要な時に追肥するほうがより良い品質のものができる。
・方法と位置:③の「肥効速度」で述べたように、肥効速度と肥効タイミングを考慮して施肥の方法と位置を決める。

問題点と注意点
・流亡:露地栽培では、雨によって水溶性肥料が失われる。同量の降水量でも、だらだら長時間にわたり降ると流亡量が増える。陽イオン交換容量(CEC)が小さいと、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの陽イオンがより多く流亡する。
・蓄積:ハウス栽培では、雨が入らないために肥料が流亡せず、作物に吸収されずに残った肥料成分が蓄積する。それによって、徐々に肥料バランスが悪くなり、さらに蓄積が進むと、塩害が起きて作物が育たなくなる。これを避けるために、作物を作付けず、吸肥力のあるイネ科の緑肥作物を栽培し吸肥させハウス外に捨てる方法がある。
・吸着:非常に重要な肥料成分であるリン酸イオン(陰イオン)は、土壌中に溶けだしたアルミニウムや鉄の陽イオンと結合し不溶性となり、植物が吸収しにくくなる。この度合いは「リン酸吸収係数」として数値化され、この係数が小さければ小さいほど良い。一般的に、水田は小さいが、火山灰土では大きくて2000を超えることも珍しくはない。このような高いリン酸吸収係数の畑地は非常に使いにくく、一生苦労する。皆生農園が使用している畑地では1600前後である。農地を入手する際、必ずこのデータ採取を勧める。
・肥料バランス:これをあまり考慮しないまま長年にわたり畑を使い続けると、病害虫が発生しやすくなり、品質が落ちる。したがって、上述④でも指摘したように、土壌の肥料分析が必要になる。
・肥効速度:早くなると、作物の出来が早まるものの、病害虫が発生しやすくなり、品質も落ちる。人間に例えれば、空腹時に糖質(特に砂糖)をとると、すぐに吸収され血中の血糖値が急激に上昇し、糖尿病になりやすくなる現象のようなものである。

有機栽培
有機栽培の場合は特に、pHが高い農地とか、リン酸吸収係数が大きい農地は非常に厄介です。有機栽培で使える肥料、有機物、土壌改良材では、なかなか改善できないからです。pHは7以下、リン酸吸収係数は1700以下の農地で栽培したい。
なお、国が定める法律に沿って「有機農産物」として認証を受ける場合には、使用できる肥料が定められています。詳しくはこちらをご覧ください。

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【2019年11月24日公開】

施設と資材

農薬を使わないためには、もちろん栽培技術がもっとも重要ですが、その技術を具体化する際、適切な施設と資材も必要になることが多々あります。

育苗ハウス
育苗が必要な作物を栽培する時、育苗ハウス内で害虫につかれたり発病するようでは、無農薬栽培は難儀します。そこで、次のような対策が必要です。
・害虫対策:ハウスの開口部(通常は換気用の両サイド)に防虫ネットを張り、害虫の侵入を防ぐ。ネットの目合いは、ブロッコリーやキャベツなどのアブラナ科を夏から秋にかけて育苗する場合はキスジノハムシが発生するので0.6mmを、それ以外の場合は0.8mmか1.0mmを使う。また、日当たりの悪いほうの屋根も換気用に開口し、そこも防虫ネットで覆う。
さらに、出入り口は二重にし、出入りの際に害虫が侵入しにくくする。
・病気対策:苗は一般的に地面に置くが、こうすると害虫が付きやすくなるだけでなく、加湿で病気になりやすい。そのため、苗を地上50~70cmの棚に置く。使い勝手の良い棚は、市販されていないようで、自作するしかない。ご希望の方には製作方法をお教えします。この方法にも欠点があり、冬場の最低気温が地面に置いた場合よりも下がることである。

栽培ハウス
・害虫対策:上記の育苗ハウスと同様に、開口部には防虫ネットを張る。目合いは、栽培する品目によって寄生する害虫が異なるため、1.0~0.6mmの中から選ぶ。ただし、目合いが細かいと、通気性が悪くなり、病気が発生しやすくなるので要注意。
・病気対策:両サイドが斜めだと、雨水が内部に入り、病気が発生しやすくなる。そこで、両サイドは垂直か雨水が入りにくいように加工する。

資材
以下の資材は、保温・保湿などの性能による生育促進の他、防虫、防風、防霜、防雹、防鳥、遮光などにも有効です。ただし、欠点もあり、栽培する品目や状況、天候などに対して適切に使いこなすには十分な学習と経験(主に失敗経験)を要します。
・防虫ネットと固定ピン:防虫ネットは、素材、サイズ、目合いでいろいろある。私は「サンサンネット」という商品名の、目合い1.0と0.6mmのものを使い分けている。後者のものは、少し特殊で、前者のものの3倍くらいの値段。耐久性も劣る。
・トンネルパイプ:鉄製とグラスファイバー製(あるいはプラスチック製)があり、どちらも長短がある。私は、初期のころグラスファイバー製を使っていたが、大雪で折れてしまったことから、20年ほど前から鉄製を使用している。鉄製は使えなくなった後の処理が簡単である。
・不織布:素材が2、3種類ある。防虫ネットや吸湿ネットに比べて安く使いやすいものの、欠点があり、耐久性に乏しい。基本色は白だが青系もあり、透水性はないものとあるものがある。
・吸湿ネット:昔「タフベル」という商品名で売られていたが、現在は「ベタロン」というものが販売されている。冬場に威力を発揮する。これらの資材の中では高価な部類。幅2.1m長さ100mのもので4万円弱。
・遮光ネット:基本的には遮光を目的としている資材だが、使いようによっては他の用途にもつかえて重宝する。値段はピンからキリまで、私は用途によって使い分けている。最も高価なものは、2.0m幅100mもので6万円くらいのものを使用している。高価なものは、性能が良く耐久性も抜群である。

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【2019年12月1日公開】

販路の開拓

どんな職業であれ、販路の開拓は重要です。その製品やサービルを市場独占でもしていない限り、販路の良し悪しは死活問題となります。
もちろん、農業も例外ではなく、農薬と化学肥料を使わずに苦労して収穫までこぎつけても、その付加価値を認めてくれる消費者に売らなければ、苦労が報われません。経営も傾きます。
つまり、経営する上で有利な販路の開拓は生産活動と同等に重要なのです。しかし現実は、一人で独自に有利な販路を開拓するのは困難を極めます。農産物の生産は特許で守られているわけでもないので、なおのことです。
もし研修先などで助力を得られれば、それも選択肢に入れるべきでしょう。
有利な販路の開拓に農家が苦労している事例を私はたくさん体験してきました。その中から、ご参考までに、いくつか以下に挙げます。

① 生産したものの、・・・・・
今から10数年前のことです。立て続けに2人の若い新規就農者が私の農場を訪ねてこられました。一人目の青年は、K社のポテトチップ向けにジャガ芋を契約栽培していました。無農薬栽培で生産したものの、その苦労はまったく評価されず、他にもっといい売り口はないかという相談でした。
その翌年に訪ねてこられた青年も就農間もない方でした。やはり農薬も化学肥料も使わずに小松菜を栽培したものの、普通の値段でしか売れないため、私の販路を経由して売ってくれないか、という相談でした。
これらのケースに共通しているのは、就農時に販路のことを真剣に考えておられなかった点です。もう一点は、ジャガ芋も小松菜も無農薬栽培が比較的簡単なために、その付加価値は低いのです。
また、私が就農するにあたって、最初にお世話になった農業普及員(千葉県職員)のI氏が旭市から若い新規就農者数名を連れて二度訪問されました。訪問の目的は、どちらのケースも、いかに有利な販路を開拓したらいいのか私の事例を新規就農者に具体的に伝えるためでした。

② どこで売ってるんですか?
ある地域に外部から就農し生産が順調になると、地元の農家から必ず尋ねられることがあります。「どこで売ってるんですか?」と。ほとんどの農家が有利な販路に困っているからです。
今から3年ほど前、こんな事件に私は巻き込まれました。近所の農家が自発的に助力を申し出てくれたので、その厚意に甘えました。そして後日、お礼に伺ったところ、「お礼はいらねぇから、あんたの販売仲間に入れてくれ」と、すごまれました。彼は慣行栽培のために仲間に入れることはできず、丁重に断りお礼を置いてきました。
ところが、その直後に酔っぱらった彼が私の農場に怒鳴りこんできました。私は首を絞めあげられ、命の危機を感じたほどです。近所のかたにきけば、地元では名うての暴力男として有名でした。その後は幸いにして被害に遭っていませんが。

③ 売ってあげましょうか?
今から10年以上前になりますが、有機栽培の農産物を仲卸している都内の会社2社が相次いで訪れたこともあります。「御社の野菜を弊社の販路で販売しませんか」という趣旨の訪問でした。
2012年にホームページを開設してからは、同じ類の電話やメールを何度も受けました。多い年には年に5、6回もありました。彼らには共通認識があると私は感じ取りました。それは、「こんな良質な野菜を作っているなら、それなりの有利な販売ルートを提供しましょう」ということ。
つまり、彼らの認識は、農家のほとんどが有利な販路を持っていないことの反映なのでしょう。

こちら(百姓雑話)も参照ください。
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【2019年12月8日公開】